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小林製薬中央研究所便り
野菜と発酵
日本が誇る発酵技術の集大成「日本酒」。世界広しといえども、ここまで複雑で緻密に作られるお酒はほかにないでしょう。日本酒は麹菌と酵母による“2段発酵法”の産物です。
小林製薬 中央研究所 通販食品開発グループ高畑 宗幸 研究員
小林製薬の製品の開発や検査などを行う中央研究所の研究所員。発酵を専攻し、発酵と微生物になみなみならぬ興味を持ち、研究に情熱を注いでいます。
ひとこと
“自称発酵マスター”の私が、日本酒づくりの現場を訪ね、“2段発酵法”についてレポートします!
まず、【1】麹菌が米のでんぷんを分解し糖をつくり、【2】その糖を利用して酵母がアルコールを分泌します。
ワインの場合は、“単式発酵”といい、ブドウの豊富な糖分を材料に酵母のみでアルコールを作り出します。
お米にはほとんど糖分がないので、2段階に発酵させる必要があるのです。
日本酒醸造では、昔から麹菌と酵母をいかにコントロールするかが、杜氏の腕の見せどころ。杜氏と微生物たちとの格闘の歴史が小林製薬の製品に引き継がれているのです。
2段発酵によって、もとの米にはない香りや味わい、アルコールが生まれるように、発酵野菜にも、野菜の有用成分が倍増し、新しい成分が生まれるので
蒸し米に麹菌を種付けしたあと、麹を育て発酵させます。温度が低くなると麹菌が風邪をひいて働きが悪くなるので、室温は40℃ほど。麹管理において1℃の違いは命取り。おいしいお酒をつくるため、温度・湿度を見極めながら、寝ずの番で麹を見守ります。
できあがった麹に、水、蒸し米、酵母を加えて、酒母をつくり、タンクで発酵。温度が高いと発酵が急激に進んで、おいしい酒ができないので、冷却水でタンクを冷やしたり、酒蔵の窓を開けるなど7~15℃に保ちます。凍てつく冬に酒造りが行われるのも、じっくり発酵させるためです。
江戸時代、発酵し始めのもろみは甘酒として飲まれていました。生きた酵素をたっぷり含み消化がよく、ブドウ糖やアミノ酸、ビタミン、ミネラルも豊富なため、夏バテ解消のための栄養ドリンクとして重宝されていたのです。
長年日本酒づくりで引き継がれてきた杜氏のわざと経験を、小林製薬の製品開発のヒントとしました。野菜の有用成分を最大限に引き出すために、“2段発酵法”を取り入れたのです。
発酵のパワーを製品開発に活かしています!
酢酸菌が、野菜から有用成分グルコン酸を最も多く生成させることをつきとめた私達は、日本酒や味噌づくりを参考に“2段発酵法”を独自に開発。さらに、多穀麹を高度な技術により、加熱処理することなく加え、酵素を生きたまま摂れるようにしています。日本伝統の発酵技術と、製薬会社の技術とを融合させて、製品開発を行っています。
取材にご協力いただいた西山酒造は、嘉永2(1849)年創業。俳人の高浜虚子が命名した「小鼓」で知られる酒蔵。「雑菌のない強くてきれいな麹をつくるのが信条。酵素や酵母の働きを見極め、じっくり丁寧に仕上げたお酒は香りや味わいが格別です」と杜氏の八島公玲さん。
西山酒造場
〒669-4302 兵庫県丹波市市島町中竹田1171
TEL 0795‐86‐0331(代表)
http://www.kotsuzumi.co.jp/